繰上返済、2つの正解
早く終わらせる? 毎月をラクにする?

繰上返済には2つの型があります。どちらも「元金を直接減らす」点は同じですが、 減らしたあとの扱いが違います。
- 期間短縮型 — 毎月の返済額は変えず、返済期間を短くする
- 返済額軽減型 — 返済期間は変えず、毎月の返済額を下げる
同じ300万円を投入した場合の差
借入3,000万円・35年・金利1.0%固定のローンで、6年目に300万円を繰上返済した場合を計算します。
| 繰上返済なし | 期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
|---|---|---|---|
| 総支払額 | 3,556.8万円 | 3,460.6万円 | 3,509.5万円 |
| うち利息 | 556.8万円 | 460.6万円 | 509.5万円 |
| 利息の削減額 | — | 96.1万円 | 47.2万円 |
| 完済まで | 35年0ヶ月 | 31年2ヶ月 | 35年0ヶ月 |
| 繰上返済後の毎月返済額 | 84,685円 | 84,685円(据置) | 75,013円 |
利息の削減額は期間短縮型が96.1万円、返済額軽減型が47.2万円。その差は48.9万円で、 期間短縮型はおよそ2倍の効果があります。返済期間も3年10ヶ月短くなります。
理由は単純で、利息は「残高 × 金利 × 期間」で決まるからです。 期間短縮型は残高だけでなく期間も削るため、削減の効き方が二重になります。総額で比べるかぎり、期間短縮型が返済額軽減型に負けることはありません。
それでも返済額軽減型を選ぶべき3つの場面
では常に期間短縮型が正解かというと、そうではありません。
1. 毎月の家計に余裕を作りたいとき
上の例では、返済額軽減型を選ぶと毎月の返済が9,672円下がります。年間で約11.6万円のキャッシュフロー改善です。 教育費のピークが近い、収入が不安定になる見込みがある、といった局面では、手元に残る現金の価値が48.9万円の利息差を上回ることがあります。
2. 住宅ローン控除の適用期間を守りたいとき
住宅ローン控除は「返済期間10年以上」が適用要件です。 期間短縮型の繰上返済で残りの期間が10年を切ると、控除そのものが打ち切りになります。 返済額軽減型は期間を変えないため、この事故が起きません。 詳しくは控除中に繰上返済すべきかをご覧ください。
3. 団体信用生命保険の保障期間を意識するとき
団信は返済期間中の保障です。期間短縮型で完済を早めることは、 その分だけ保険としての保障を手放すことでもあります。金額に表れないためつい見落とされます。
実行時期は「早いほど得」— これは例外なく成り立つ
同じ300万円を、実行時期だけ変えて比べてみます。
| 実行時期 | 利息の削減額 |
|---|---|
| 2年目 | 112.0万円 |
| 6年目 | 96.1万円 |
| 11年目 | 77.5万円 |
| 21年目 | 42.4万円 |
同じ金額でも、実行が9年遅れるだけで効果は3分の1近くまで落ちます。 元利均等返済では返済の序盤ほど利息の割合が大きく、その時期の元金を削ることの効果が最も大きいためです。
繰上返済に回したお金は原則として戻ってきません。 失業・病気・修繕といった出費に備えた手元資金(生活費の6ヶ月〜1年分が目安)を確保したうえで、 余剰分を投入するのが順序です。
シミュレーターは期間短縮型と返済額軽減型を常に同時に計算します。あなたの条件での差額を確認してください。
シミュレーターで試す